完璧なフィットへの挑戦!
じゃあなんで入れ歯作りってそんなに難しいんでしょうか?その答えは実は僕たちの口の中に隠されてるんです。 口の中って、実はものすごくダイナミックで、とんでもなく複雑な世界が広がっています。

今回は入れ歯についての歴史から最高の入れ歯を生み出すための秘訣について動画にしました。

以下は解説文章になります。スライドと併せて御覧下さい。

01 皆さん「入れ歯」って聞くと、どんなイメージがありますか。最近の医療器具っていう感じですよね。でも実はそうじゃないんです。これって完璧な笑顔を求めてきた。もう何世紀にもわたる人類の長い長い探求のまさに結晶なんですよ。

02 これちょっと見てください。信じられます?ただの工芸品じゃないんですよ。これなんと18世紀の日本で実際に使われていた木製の入れ歯なんです。すごい職人技ですよね。いや本当、昔の人たちがどれだけ真剣に歯を失うっていう問題に向き合ってきたか。 その歴史が、この一つの入れ歯にギュッと詰まってる感じがします。

03 手作りの木から、今のハイテクな入れ歯まで、いや一体どんな進化があったんでしょうね。さあここからはですね、この驚きの歴史のその先に待っている現代の専門家たちが直面している、もっともっと複雑な課題の世界に、皆さんと一緒にダイブしていきたいと思います。

04 というわけで最初のテーマですね、完璧なフィットへの挑戦!じゃあなんで入れ歯作りってそんなに難しいんでしょうか?その答えは実は僕たちの口の中に隠されてるんです。 口の中って、実はものすごくダイナミックで、とんでもなく複雑な世界が広がってるんですね。

05 この図を見てみてください。僕たちの顎って硬い骨の上にぷにぷにの柔らかい筋肉それからすごくデリケートな粘膜が乗っかってるっていう、言ってみれば固い岩盤の上にゼリーが乗ってるみたいな、そんな状態なんです。 入れ歯っていうのは、この性質が全然違う。でこぼこな土台の上で、ご飯を食べるときも、お喋りするときもピタッと安定しなきゃいけない。 これを想像するだけで、ぴったり合わせるのがどれだけ大変か何となくわかりますよね。

06 もしその入れ歯が合わなかったら、もうただちょっと深いとかいうレベルじゃないんです。 痛くてご飯が美味しくない、うまく話せなくて人と会うのが億劫になる。それどころか、口の中が傷だらけに!なんてことも。つまり、日々の生活の質、クオリティオブライフってやつがガクンと下がっちゃうんですね。 だからこそ、この完璧なフィットが何よりも何よりも大事になってくるわけです。

07 そう、ここがポイントです。本当に腕のいい職人さんたちが目指しているのはただのものじゃない。まるで元からそこにあった自分自身の体の一部みたいに、ごく自然に体と調和して機能するもの。 それをつくることこそが究極のゴールなんですね。

08 さあここからがいよいよ本題の核心に迫っていきますよ。見えざる土台の秘密。 本当に優れた専門家と、そうでない人の違いって一体何だと思いますか?それはですね、目には見えない、口の奥深く、その解剖学をどれだけ深く理解しているか、ここにあるんです。 これこそが最高の入れ歯を生み出すための最大の秘訣なんですね。

09 これがまた面白いところで、専門家によってもアプローチが全然違うんです。 例えばこの分野のレジェンドであるパウンド先生とか本郷先生とか、そういう名工と呼ばれる人たちは、入れ歯が歯茎とどう接するべきかについて、それぞれが独自の考え方、もう哲学と呼んでもいいレベルのものを持ってるんですよ。 ただの技術じゃない。まさに職人の道みたいな世界だっていうのがよくわかりますよね。

10 哲学を形にするのが、この「選択的加圧印象」っていうちょっと難しい名前のテクニックなんですけどこれすごく簡単に言うと、どこにでも同じように力をかけちゃ駄目だよってことなんです。 口の中の組織の硬さとか動きをよく見て、力をかけても大丈夫な場所と逆にかけちゃいけないデリケートな場所をちゃんと選んで型を取る。だから選択的なんですね。 いやあ奥が深い。

11 さて、理論はここまでにして、ここからは実践編です。 どうやって患者さんの口の形を完璧にコピーするのか。入れ歯作りの心臓部とも言える印象採得の芸術を見ていきましょう。

12 この型取りのプロセス、これがまた、ものすごく丁寧なんです。まず患者さん1人1人のために作った専用のトレーに柔らかい材料をのせて。 ポイントは、組織を無理やり押しつぶしたりしないで、口が自然に動いている、そのまんまの形をそっと写し取ることもうねコンマ何mmっていうとてつもない精度が求められる世界なんです。

13 しかも驚くことに、いきなり最終的な方取りにはいかないんです。その前に、この「ティッシュコンディショナー」っていう薬が入ったような柔らかい材料を使うんですね。 これをまず仮の入れ歯の内側につけて、ちょっと荒れちゃった歯茎をまず健康なベストな状態に戻してあげるんです。 最高の入れ歯を作るためには、まずその土台である歯茎を最高のコンディションにする。まさに急がば回れ!すごい考え方ですよね。

14 ここである明光の言葉を紹介します。「新しい入れ歯が合うかどうかを正しく診断したかったら、まずその患者さんが今使ってる古い入れ歯を調整して、今までどういうふうに使ってきたかを見なきゃ駄目だ」いや深いですよね。いきなり。はい。新しいのを作りましょうじゃないんです。まず今あるものを直して、どこに問題があったのかをしっかり診断する。そこから、その人の口が本当にどうあるべきかを探っていく。どこまでも患者さん1人1人に寄り添ったアプローチだっていうのが伝わってきます。

15 さあ、ここまで見てきた職人技、その本当の価値って、作った瞬間のわぁぴったり!だけじゃないんです。本当にすごいのはその先、時間が経ったときにどう機能し続けるか、そこに真価が問われるわけです。

16 ここで一つ、実際のケースをご紹介したいと思います。 キーワードは「10年」この数字がもう全てを物語っています。

17 これある患者さんが実際に言った言葉なんですけどね。「10年ぶりに来ました。全然問題なかったんだけど、落として終わっちゃってそれで検診のために100キロ運転してきたんですよ。」 すごくないですか。2013年に作った入れ歯が10年間、全くトラブルなしうっかり壊しちゃったから、わざわざ100キロも離れた場所から来たと。 一度もですよ。一度も調整が必要なかったって言うんです。

18 たった一つの入れ歯が10年間、日数にしたら3,650日以上、一度も調整することなく、完璧な快適さと機能を保ち続けた。 これって本当に驚異的ですよね。これこそが、今までお話してきたあの深い解剖学の知識と、ミリ単位の精密な技術が生み出した。紛れもない答えなんです。

19 というわけで、江戸時代の木の入れ歯から始まった僕たちの探求の旅もいよいよゴールです。 深い解剖学への知識と、気の遠くなるような精密な職人技。この二つが一つになったとき、口と完全に一体化して、ときにはその人の人生まで変えてしまうような、そんな入れ歯が生まれるんですね。

20 本当の職人技っていうのは、何を作ったかないのかもしれません。 それが1人の人間の人生にどれだけ長く寄り添い役に立てたか。それで価値が決まるんじゃないでしょうか? ふと自分の身の回りを見渡したときに、これほどの思いを込めて作られたものって一体いくつあるんだろう?なんてちょっと考えてみたくなりますよね。