本院の歯科衛生士のペンバさん(Sherpa Pemba Lhamu)が
2025年4月6日と20日に行われたペリオベーシックオープンコースという歯周病学の基礎から臨床までを勉強する山本浩正先生のPECセミナーに参加しました。
2日間のセミナーで、解剖学、組織学、細菌学、感染症学、内科学、薬理学、など多岐分野にわたる歯周治療学について深く学びました。

歯周病の基本知識
歯周病は歯周病菌によって引き起こされる感染症です。初期の段階では自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行してしまうことがあります。初期症状としては歯茎の腫れや出血、歯のグラつき、口臭などがあげられます。
進行すると歯茎下がり(退縮)したり、噛みしめると痛みが出たり、歯周病がさらに進行すると、歯が抜けてしまうことがあります。歯周病で失われた歯肉や歯周組織は回復しません。ですが、今ある状態を「維持する」、これ以上「悪くならない」ことを目標として、私達は歯周治療やメインテナンスを行っています。
自分自身のセルフケアだけで歯周病を完治させるのは難しく、定期的に歯科健診や治療を受ける「プロフェッショナルケア」が必要になります。歯周病の治療には、歯周ポケットの清掃、歯石の除去、歯周組織の再生などがあります。

歯周組織検査
歯周組織検査はプローブと呼ばれる器具を使ってプラーク付着の状態、歯肉出血、ポケットの深さ、歯の動揺度等を調べる検査とエックス線写真を撮影して歯の周りの歯槽骨の状態を確かめる検査のことです。
プローブを使って測るポケットデプス値(歯周ポケットの深さを測定した値。歯周病の進行度合いを評価する指標の一つで、数値が高いほど歯周病が進行している可能性がある)というものがあります。初回検査時に悪い部位を見つけ2回目以降で部位がどう変化したかを見分けます。

歯石除去後の治癒の過程(形態)
歯石を除去することは歯周病の進行を抑制し、改善効果が期待できます。
歯石除去後の治癒形態は歯肉退縮による治癒と、付着の獲得による治癒があります。
4-6㎜の歯周ポケットの歯石除去を行うと平均1.5㎜ちょっと改善します。
7㎜以上の歯周ポケットの歯石除去を行うと平均2㎜ちょっと改善します。
※歯周ポケットとは、歯と歯茎の間にできる溝で、健康な状態では1〜3mm程度ですが、歯周病が進行すると深くなります。

歯肉退縮の種類
炎症性歯肉退縮→歯周炎が進行に伴う歯肉退縮、歯間部が特徴。
非炎症性歯肉退縮→バランスの悪い組織(薄い骨、薄い歯肉)にブラッシングが強くかかって発症する歯肉退縮、頬側中央部が特徴。その他にも歯の矯正治療、歯肉切除術などの歯科治療、咬合の異常なども原因となることがあります。
対策として、歯茎を傷つけないように、正しいブラッシング方法で歯磨きをすること、定期的に歯科医院で診てもらうことや歯周病の治療を受けることやが重要です。

スキルアップを目標に初心の気持ちを忘れずに様々な講座・セミナーや勉強会に参加し、勉強し続けたいです。セミナーで学習したことや日々の経験から学んだことを患者さん、スタッフの皆さんと共有したいと思います。