
2025年8月3日、東京で開催されたヒューフレディシャープニングセミナーを受講しました。「シャープニング」とは、歯科で歯石を取るために使うスケーラーやキュレットという器具の刃先を研いで、切れ味をよくする作業のことです。刃先を正しく研ぐことで、器具の形を崩さずに鋭さを取り戻すことができます。
本セミナーでは、シャープニングの歴史から始まり、シャープニングの利点、テクニック、さまざまなシャープニングストーンの特徴、さらに適切にシャープニングされているかを確認する方法まで、幅広く深く学ぶことができました。
歯科衛生士にとって、スケーラーやキュレットといった歯石除去器具、そしてそれらの適切なシャープニングは、効果的かつ安全な歯周ケアを行う上で欠かせない器具および技術です。適切にシャープニングされたインスツルメントを使用することにより、歯科治療において以下のような利点が得られます。
・沈着物除去効率の向上(歯石を効率よく取ること)
・患者さんの不快感の軽減
・術者の疲労軽減(働く歯科衛生士の手や腕の疲れが軽くなる)
・時間の節約等
・手指感覚の向上
午前中は講義形式で理論を学び、午後は実習で実際のシャープニング技術を体験しました。実習では、まずスケーラーの構造を確認し、シャープニング練習用に刃が鈍くなったシックルスケーラーとキュレットを使用して練習しました。また、研磨後のスケーラーやキュレットにテストスティックを当てて、シャープニング状態を確認する手技も行いました。シャープニングテクニックとテストスティックを使ってシャープニングの状態を確認する方法は、日々の臨床にすぐに取り入れられる実践的な内容であり、大変参考になりました。また、講師の先生方の説明も分かりやすく、少人数での実習形式だったため、質問もしやすく、しっかりと技術を身につけることができました。
また7月27日に東京で開催された「メインテナンス・オープンコース」にも参加しました。
この講習では、定期的な歯のメインテナンス(お口の健康を維持するためのケア)の大切さや、どのくらいの間隔で歯科検診を受けると良いのか、さらに患者さんにわかりやすく前向きにお伝えする方法などを学ぶことができました。
歯ぐきの治療には大きく分けて2つの段階があります。
・1つは「歯周治療」と呼ばれる、症状を改善させるための積極的な治療の段階です。
・もう1つが「メインテナンス」と呼ばれる、その後の健康を維持するための段階です。
簡単にいうと、歯周治療の目的は「悪くなった状態を良くすること」、メインテナンスの目的は「今の良い状態を保ち、悪くならないようにすること」です。
さまざまなデータやエビデンスによると、メインテナンスを継続的に受けている患者さんは、10年間で失う歯の本数が少なく、メインテナンスを行っていない場合と比較して、歯が約3倍長持ちすることが報告されています。

メインテナンスの重要性を意識する一方で、患者さんはオーバーブラッシング(過剰なブラッシング)、そして我々歯科医療従事者はオーバーインスツルメンテーション(過剰な器具操作)が及ぼす影響にも十分注意することが重要です。多くの患者さんは、過度な意識や不適切なブラッシング方法により、歯肉退縮や歯頸部の摩耗が見られることがあります。そのため、正しいブラッシング方法や適切な補助的口腔ケア用品について、担当の歯科衛生士に相談することが大切です。
本コースを通して、メインテナンスの重要性とその実践方法、患者さんとのコミュニケーションの工夫、リコール管理のポイントなどを体系的に学ぶことができました。今後は、学んだ知識と技術を日々の臨床に活かし、患者さんにより良いケアを提供できるよう努めていきたいと思います。
DH Sherpa Pemba Lhamu